2014-02-06 第一二三話 ◆ 九谷焼という名称 九谷全般 #工芸 (石川県加賀市・旧九谷村 左手の斜面は九谷古窯跡) 120回以上にわたって、九谷焼のことを見てきました。 これだけ多彩な作風に分かれているやきものは、 そうはないでしょう。 青手、五彩、赤絵細描、彩色金襴手、釉裏金彩……。 これからも新しい技法が開発され、 九谷焼はますます多様化していくでしょう。 どれだけ作風が分かれても、 これらのやきものは九谷焼という 一つのブランドを名乗っています。 産地が同じだから、かというと 厳密には少し違います。 現代において「九谷焼」は産地を示していません。 九谷とは、石川県加賀市の山奥にある廃村のことで、 今は陶磁器の生産どころか、住んでいる人すらいないのです。 九谷焼の「九谷」は「古九谷」を指すと 考えた方が良いと思います。 多種多様な九谷焼は、ただ一点、 古九谷の存在によって、一つにつながっています。 九谷焼の“統合の象徴”とも言える存在。 それが古九谷です。