第一二三話 ◆ 九谷焼という名称

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(石川県加賀市・旧九谷村 左手の斜面は九谷古窯跡)
 
120回以上にわたって、九谷焼のことを見てきました。
これだけ多彩な作風に分かれているやきものは、
そうはないでしょう。
 
青手、五彩、赤絵細描、彩色金襴手、釉裏金彩……。
これからも新しい技法が開発され、
九谷焼はますます多様化していくでしょう。
 
どれだけ作風が分かれても、
これらのやきものは九谷焼という
一つのブランドを名乗っています。
 
産地が同じだから、かというと
厳密には少し違います。
 
現代において「九谷焼」は産地を示していません。
九谷とは、石川県加賀市の山奥にある廃村のことで、
今は陶磁器の生産どころか、住んでいる人すらいないのです。
 
九谷焼の「九谷」は「古九谷」を指すと
考えた方が良いと思います。
多種多様な九谷焼は、ただ一点、
古九谷の存在によって、一つにつながっています。
 
九谷焼の“統合の象徴”とも言える存在。
それが古九谷です。