2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

第八十七話 ◆ 明治期の赤絵金彩

前回のカップのソーサーです。カップと共通の孔雀の図が、 いかにも明治期らしい赤絵金彩スタイルで描かれています。 周縁の金襴手部分は、庄三風と共通した雰囲気ですが、 見込みの絵付けは別系統と感じさせます。 一番の違いは、金彩がより前面に出ている…

第八十六話 ◆ 透ける素地

明治期のコーヒーカップ。おそらく輸出用でしょう。 小品と言えども、立派なジャパンクタニです。 自然光で撮影したのですが、よく見るとカップもソーサーも 光が透けているのがわかるでしょうか。 カップの縁の厚みを測ると、0.5ミリくらいしかありません。…

第八十五話 ◆ ジャパンクタニ

これでもか、という細かい絵付けが全面に施された 高さ数十センチ(時には一メートル以上)もの大花瓶が、 続々と欧米に送り出されていきました。 慶応年間前後から始まったと思われる九谷焼の海外輸出は、 明治に入ると、金沢や能美地方の商人たちの手で 一…

第八十四話 ◆ 明治への準備

明治の足音が近づく、文久三(1863)年の横浜の海。 当時の浮世絵に描かれた情景です。 (歌川芳虎 『御上洛東海道・神奈川』より) 沖合には洋式船が居並び、 貿易の時代が始まろうとしていました。 アメリカやイギリスなどの列強とは すでに通商条約が結ばれて…