2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第三十七話 ◆ 伝統となった鼠素地

左が徳利、右が小皿の高台部分。典型的な「鼠素地」です。 灰色というか、黒ずんでいるというか、 とにかく純白でないのが一番の特徴。 細かな不純物も多数、素地の中に見られます。 幕末青手の素地が全て灰色というわけでなく、 クリーム色がかった素地もあ…

第三十六話 ◆ 花紺青の謎

画像は典型的な花紺青が使われた、松山窯の朝顔文です。 花紺青は、日本で伝統的に使われてきました。 日本画で古くからある色で、京焼でも使われているようです。 ただ、失透性が高いため、 色が淡いだけでなく濁った感じになります。 色釉の透明感が売りの…

第三十五話 ◆ 松山窯の四彩

(左)吉田屋窯の四彩 (右)松山窯の四彩 九谷焼における青手(四彩)の伝統を 再復興させた松山窯ですが、すでに見てきたように 吉田屋の製品とは作風に違いがあります。 見慣れてくると絵の感じだけでなく、四彩の色調にも 微妙な差があることがわかってきま…

第三十四話 ◆ 青手古九谷を写す

青手古九谷の図柄を写した作品が見られるようになるのも、 松山窯の特徴です。下の画像の鉢はその一例。 ほぼ同じ図柄を描いた古九谷の中皿があります。 第八話でも触れましたが、吉田屋にはこういう、 図柄をそのまま古九谷から引用しているような作品は あ…

第三十三話 ◆ アバンギャルドな小皿

松山窯の絵の面白さは、四寸足らずの小皿でも 十分に見て取ることができます。 前話でご紹介した徳利の絵よりは一見、線描は端正ですが、 こんな風景が実際にはあるわけがないことは、 すぐに気付くでしょう。 岩の穴からはみ出してくる牡丹の花も、 羽を閉…

第三十二話 ◆ 幕末青手の絵のパワー

同じ青手でも、松山窯の作風は吉田屋とかなり違います。 特に異なるのが、絵から受ける印象です。 画像は、松山窯の六角徳利の側面です。 山や樹木が描かれる、いわゆる山水図ですがどうでしょうか。 情念。私の場合、浮かぶのはそんな言葉です。 吉田屋の持…