第四十七話 ◆ 再興九谷の流れ

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一般に再興九谷の諸窯は、地域ごとに
「金沢九谷」「能美(のみ)九谷」「江沼九谷」
3つに分けられます。

19世紀前半から中盤(江戸後期~末期)で見ると、
再興九谷の端緒となった春日山窯は、金沢九谷
能美郡域に位置する若杉窯や小野窯は、
能美九谷となります。
これまで取り上げてきた吉田屋窯、宮本屋窯、松山窯は、
旧江沼郡域の江沼九谷に入れられます。

しかし再興九谷の歴史は、なかなか複雑です。
地域のワクを超えた人の出入りや、
技術・作風の伝播があるからです。

そこでいささか乱暴ですが、私案として、
「産業志向」「芸術志向」「古九谷志向」という
3つの区分で、流れを描き直してみたのが下の図です。

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作図の都合上、窯の位置は必ずしも正確ではありません。
また、それぞれの志向はあくまでも傾向です。
産業志向の中にも芸術的な側面がありますし、
逆も然りです。
芸術志向とは、“作品性を重視し、なおかつ
古九谷風ではない”ぐらいの意味です。
古九谷志向はこの場合、基本的に青手のことです。

ともあれ、これを元に
春日山窯からの流れを捉え直してみたいと思います。

※ (2011/8/15 流れ図を一部改訂しました。
以前点線だったところを実線に直したり、
民山窯から小野窯への線を足すなどしています。)